コラムー経営理念を考える

いつもご覧いただきありがとうございます。

経営者とのコーチングをしていると、そもそもその会社(団体)の目指すものは何ですか?という質問によく当たります。そんな時は企業理念を教えていただきますが、ほとんどの場合はなかったり、忘れてたりして絵に描いた餅になっています。

そこで今回は企業理念についての私の考えをお伝えしたいと思います。これは渾身の力作(笑)になりますので少し長いですがお付き合いくださいませ。

経営理念とは何か?

企業のホームページを見ると経営理念をよく見かけます。「経営理念は大切だ」などとよく言われます。自分の会社も経営理念を考えなければいけないなとも思います。

では、どうして経営理念を作りたいと思うのでしょうか?なぜ必要なのでしょうか?

なぜなら、企業理念を掲げると儲かるからなのです。

「経営の教科書」新将明著 によると、理念のある会社とない会社では経常利益額で約8倍、経常利益率でも約4倍もの差が出ていたということです。

しかし、この儲かるということは経営理念が浸透した結果なのです。しっかりとしたプロセスで作り上げて社内に浸透することにより、社員のやる気が生まれた結果として儲けが出るということです。

まずは思い出してください。自分が起業・承継した時の思いとか、企業に就職や転職した時の思いです。夢ややる気に溢れて「やってやるぞ」という意気込みがあったと思います。そうです「人は大きなことを信じた時に大きな仕事をする」のです。

我が社がゆくゆくどんな会社になりたいかという夢や理想やビジョン、企業市民として誰のためにどう役に立つのかという使命感、日々の経営を行うに際して何が大切と考える価値観があると、単なる利益至上主義型の集団と比べて、社員は道徳観の高いはるかに大きな仕事をするものなのです。

経営理念は、腑に落ちるような形で社員に分からせることが重要です。その理由として

  1. 多様化時代の求心力・・グローバル化やダイバーシティ化だけでなく年代の違い(ジェネレーションギャップ)や価値観(趣味嗜好)の違う社員にとってのいわば憲法のようなものである。
  2. 理念の共有による社員の誇りと自信・・お金儲けの以前に、会社の思想や哲学が社会に対しての責任があることを共有することにより、家族や友人に胸を張って言えたなら、社員のモチベーションは否応無くあがるはず。
  3. ステークホルダー(利害関係者)からの信頼と尊敬・・銀行や取引先、株主やお客様に理念を理解していただければ、会社は信頼され、尊敬に値される。
  4. 優れた人材を採用しやすくなる。・・良い企業理念に引き寄せられて優秀な人材が集まってくる。
  5. 業績が向上する。・・良い理念は結果として業績の向上につながる。

そして、良い経営理念は経営者の思いを社員に伝えられ、経営者や社員が判断に迷った時に立ち戻る材料になります。

それでは良い経営理念の条件とはなんでしょうか?

  1. 紙に書いてあり、見える化度が高い
  2. 表現、内容、長さがユーザーフレンドリーであり、人を鼓舞する
  3. 作成の過程に社員の参加・参画がある
  4. 社内外のステークホルダーに対して徹底的にコミュニケートされている。
  5. 経営判断・決断や業績の場で、“仕事上の道具”として使われている
  6. 差別化があり、戦略の根源として機能している
  7. 定期的に実績評価が行われ、是正措置が取られている
  8. 必要に応じて改訂が加えられている
  9. グローバルに通用する
  10. トップの強いコミットメントが具体的な形で示されている

更に付け加えると

  1. 成長性を示唆していること
  2. 理念から戦略&戦術のヒントがあること
  3. 社会に貢献するものであること

となります。

それでは具体的に作り方を考えてみましょう。

まず、先ほどの起業や承継、就職や転職の時の燃え上がる気持ちを思い出してください。

  • この仕事を始めた時に会社を将来どんな会社にしたいと思って始めたか
  • この会社で働くことを通してどんな人間になりたいか
  • 社会にどんな貢献をしたい
  • 従業員にとってはどんな会社でありたいか(サービス・人間関係・報酬・福利厚生)
  • その会社の商品やサービスが最高な状態とはどんな状態か
  • 他社と差別化しているポイントは何か
  • 外国人に商品やサービスを伝えるとしたらどうわかりやすく伝えるか
  • 新しい事業を始めた時に何を最後の判断材料にしたか
  • この巻末にあるJohnson&Johnsonの“我が信条”を参考にしてみてください。凝縮されています。

これらの質問で出てきたキーワードをブレインストーミングして紙やホワイトボードに書き出します。その作業をするだけで参加した社員は笑顔に溢れワクワクするはずです。

そのキーワードを文章にしていくとイメージが湧きやすいと思います。ポイントは前述の2.表現、内容、長さがユーザーフレンドリーであり、人を鼓舞するです。

最後にチェック事項として

  • 起業や就職・転職した時の気持ちを思い出させてくれるものか
  • 迷った時の判断材料になるか
  • 出来上がった経営理念は社員がいつでも分かるように掲示しているか
  • 社員の口癖になるくらいの啓蒙活動をしているか
  • 採用面接などにも紹介し、理解を深めているか
  • 外国人にも分かりやすいか
  • ホームページや商品チラシなどにも記載しているか

この経営の考え方が凝縮した稲盛和夫さんの著書「生き方のブログもご参考にしてください。

参考までに有名な企業と分かりやすい経営理念をお知らせしておきます。

京セラ

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類、社会の進歩発展に貢献すること。

DeNA

世界に喜びと驚きを

タニタ

我々は「はかる」を通して世界の人々の健康づくりに貢献します。

Johnson&Johnson

『我が信条(Our Credo)』
■我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。
顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。
適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。
顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。
我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。
■我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も――に対するものである。
社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない。社員は安心して仕事に従事できなければならない。
待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でなければならない。社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう配慮しなければならない。
社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。
能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。
我々は有能な管理者を任命しなければならない。そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。
■我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。
我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し適切な租税を負担しなければならない。
我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する
活動に参画しなければならない。我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。
■我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。
事業は健全な利益を生まなければならない。
我々は新しい考えを試みなければならない。
研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。
新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。
逆境の時に備えて蓄積を行なわなければならない。
これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

 

ありがとうございました。

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